21世紀の投資と、「〇〇ファーストとブロック経済」
当事務所では、各種歴史認識に対しての意見やイデオロギーを述べることはありません。
特定の政策・思想への意見を述べることもありません。
客観的事実と資産運用への影響について思うことを書いているだけです。
1929年(昭和4年)、アメリカ合衆国は第一次世界大戦後から景気は立ち直り、その発展は目まぐるしいものでした。
ここ十数年、中国が著しい発展を遂げるがごとく、大戦前の欧州列国に変わりアメリカ合衆国が台頭しました。
クーリッジ大統領、フーヴァー大統領たちも立て続けに、合衆国の「我が世の春」を確信した声名を発しました。
後世に何度もの不況やバブル崩壊から学んでいる我々からすれば、この後に何が起こるかは容易に想像がつきます。しかし、当時は一部の者を除いては、恐慌を疑う者は居なかったと思います。
好景気に沸いた生産過剰、農産物過剰生産を引き金に、10月24日にウォール街のニューヨーク証券取引所で株の大暴落がおきました。この1年前には大統領自ら「失業者はいなくなる」と宣言していたにもかかわらず、銀行は倒産、工場も閉鎖で失業者があふれました。アメリカ経済は負のスパイラルに飲み込まれました。この恐慌はアメリカ経済のみならず、数年で世界各国に波及し『世界恐慌』となりました。
日本を含め各国は、史上最悪の不況から脱出するために、自国通貨安の誘導を行います。自国貨幣の通貨安誘導により輸出を有利にし国内生産高め、輸出拡大、失業率低下を目論(もくろ)みます。
しかし、各国が同じように通貨安競争に走ったため、為替は乱れ経済の立て直しまでは各国とも至りませんでした。
各国が同じ政策に走る中、その国の環境により対策のベクトルが二分していきます。
間違っていた「植民地主義」政策により、多くの植民地を有していたイギリス連邦や、フランス・ベルギー・オランダなどは自国と植民地内、同じ経済圏内で、アメリカ合衆国は南北アメリカ圏内の各国と囲い込み経済圏を樹立し、関税を安くしてその他との貿易には関税を高くしてブロックしました。(ブロック経済)
これは、現在で言う自国産業を保護する『保護貿易主義』です。
一方、『大航海時代』に乗れなかった、日本、ドイツ、イタリアはブロック経済をまねた自給できる圏内を作ろうとして間違った方向に進んでいきました。
これらは「帝国主義」を掲げ、侵略による植民地化を加速させました。
現在も日本国内で、第二次世界大戦前の日本が植民地化した理由を、「侵略」ではなく「相手国のためになる統治」で当時の政策を理由付けようとしています。しかし、世界的規模での有識者感覚からすれば、独立した国家の内政不干渉へ踏み込んだ行為は、どんな理由付けをしようと『侵略』であり、正当化する論理は存在しませんという風潮が主流だと思っています。
上記部分は、外国為替証拠金取引や世界規模で分散投資を行う上で、各国情勢で世界地図的に、グローバルな投資家のお金がどこに向かうかを見定めるときには、必要の感覚です。
どこまでも自国有利なナショナルズにこだわっていては、安全で安定した資産運用はできません。グローバルな資金移動を予想する判断を誤らせます。
世界各国の列強がみな『保護主義』に走り、この後あの地獄のような「第二次世界大戦」へと繋がっていきました。
ここで、話を現在に戻すと、私は各国のWTOを無視するかのような自国ファースト、〇〇ファーストの風潮が過去の保護主義政策と似た匂いを感じてしまいます。ジャーナリズムや、政治経済の有識者からも余り声があがっていない事を鑑みると、私の感覚がずれているという事になるのだと思います。
しかし、私は今後数年から十数年の間に、分散投資の資産運用で、〇〇ファーストで保護主義政策を実施できない各国が手を組んで、同盟を組んでいくことがないか、注視して早めのポートフォリオの組み直しを考えていこうと思います。